第2回 研究推進体「ストレス」フォーラムを開催しました

  第2回研究推進体「ストレス」フォーラムが、2010年9月8日(水)に開催されました。今回は、「細胞環境とシグナル伝達 ~疾患へのアプローチ~」というテーマで、5名の先生方に、上皮系細胞や筋細胞に焦点を当てた、基礎と臨床を結ぶ研究を紹介していただきました。 

まず前半3題は、上皮系細胞に対する研究について発表・討論を行いました。安達泰弘先生(器官解剖学)は、脂肪酸結合蛋白質を介したリノール酸やその代謝物の恒常性制御が、表皮細胞分化に重要な役割を担っていることを報告しました。松浦健二生先生(分子薬理学)はインスリン様成長因子由来の部分ペプチドが、上皮細胞に対して遊走促進作用を有し、皮膚創傷治癒促進薬として有用である可能性を示しました。原田耕志先生(歯科口腔外科学)は、口腔上皮癌に対する新規のフッ化ピリミジン系抗癌剤の作用機序と有用性について最新の研究成果を紹介しました。

後半2題は、血管や心臓の筋収縮異常について発表・討論を行いました。岸博子先生(生体機能分子制御学)は、コレステロールやスフィンゴ脂質代謝物が、平滑筋膜ラフトを介したシグナル伝達機構に影響を及ぼし、血管平滑筋異常収縮を引き起こしている可能性を示しました。池田安宏先生(器官病態内科学)は、タンパク質ホスファターゼによる筋小胞体膜上タンパク質のリン酸化制御が心筋細胞の収縮異常に関与するという研究成果を供覧し、本過程に注目した新しい心不全治療の可能性を示しました。

 今回のフォーラムは基盤系・臨床系からの研究者のみならず、学部学生や大学院生も多く集まり、会場から人があふれるほどの盛況ぶりでした。各講演後には活発な討論が行われ、細胞環境とシグナル伝達を基盤とした研究への興味の高さを実感しました。

(器官解剖 徳田信子)